涙して愛した歴史の答え

※これは映画を境にST☆RISHのオタクを辞めることを決意したオタクが当時の感情を淡々と吐き出している記事なので所謂王国民の皆様にはオススメできません。

※私が応援していたアイドルの名前はここでは明記しませんが恐らく読み進めるうちに気付かれるかと思われます。グループ名は書きます。

私がうたの☆プリンスさまっ♪に本格的にハマり始めたのは4thライブの少し前くらいでした。
それまでは「女性向けのキラキラしたアニメ」くらいの認識で周りが騒いでるのを遠巻きに見ているだけでした。ちゃんとアニメを見たのもニコ生一挙の時だったのでだいぶ人より遅かったと思います。
私も他のオタクと同じように曲に惹かれ、1人の歌を愛する努力家なアイドルの姿勢に、歌声に、そしてアイドルが実在するという体での展開(メタ的な表現でごめんなさい)に惹かれ、青春をうたの☆プリンスさまっ♪の一アイドルに捧げるようになりました。

うたプリのオタクになってからの約5年間は本当にいろんなことがありました。楽しいことも沢山あったし、素敵な曲にも沢山出会えました。

特に楽しかったのは『Shining Dream Festa』(衣装展示等)とVRライブである『ST☆RISH SECRET PARTY』(以下シクパ)と声優出演のファンミーティング『Welcome to ST☆RISH World!!』の3つです。
その中でもシクパは、実在設定を重んじるオタクにとって最高のエンターテインメントだったと今でも思っています。声優さんが演じてパフォーマンスをしてくれるのも本当に大好きなのですが、やはりアイドルがそこにいる、自分たちに手を振ってくれているという感覚は他で味わえるものではなく、推しが進行役を務めている日もそれ以外の日もチケットを取り、週一のペースでVR ZONEに通っていました。

しかし、応援していく上で公式のやり方に抱く不満は小さくありませんでした。
ジャンル内での扱いの格差、突然現れたグループのメンバーとのデュエット、足りない在庫、続編の出ない原作ゲーム、事前抽選なのに足りない在庫、トレーディンググッズを販売するのに禁止されるトレーディング(トレスペ無し)、足りない在庫、2013年以降発売されないソロCD、前述のグループに奪われるイメージカラー、実在設定の揺らぎ、シナリオライターの贔屓、単独ライブの有無、足りない在庫……

立場が変われば恐らくこの不満の数々は言いがかりだ被害妄想だと一蹴されてしまうものなのだろうとは思います。
ただ当時は、本当に必死でアイドルを応援していたのでこのどれもがどうしようもなく許せなかったのです。
それでも誰よりも歌が好きな彼を応援し続けたい、ライブで聴けていない曲も聴きたい、という一心でグッズを買いCDを積みシャニライのイベントを走り、がむしゃらに応援し続けていました。

その情熱に陰りが生まれたのが2019年6月14日、マジLOVEキングダムの公開日でした。
正直に言うと、4期マジLOVEレジェンドスターの影響でマジLOVEシリーズには何も期待していなかったので「どうせこの映画は毒にも薬にもならないものだろう」くらいの感覚で構えており、ST☆RISHを主軸としているはずのマジLOVEシリーズなのに映画の主題歌が18人歌唱であると聞いても「はいはい」くらいの気持ちでした。
それでも公開日に学園祭準備を終え、映画館に駆けつけていたので心のどこかで何かを期待していたのかもしれません。



観賞後すぐに心に浮かんだのは「なんだろうこれ」という言葉でした。

作画も酷いし尺の問題で仕方がないとしても一曲としてフルでは聴けないライブとは?彼らはどうして最近出会ったグループのことを自分たちを成長させてくれた恩人のように語っているんだろう。本当に作画が酷い。


そして何より私がショックだったのはST☆RISH一緒に夢を追っていた主人公である七海春歌が舞台袖から感情の読み取れない表情で彼らを見ていたことです。


それを見た瞬間私は「違う」と思ってしまいました。
ステージ前にST☆RISHの面々と主人公である七海春歌がハイタッチをするシーンが大好きだったし、何より原作ゲームで主人公がパートナーと困難を乗り越えて愛を育み歌を生み出すうたプリという作品が好きだった私は何かが失われたような気持ちになりました。
極め付けは観賞後の空気です。私のように呆然とするオタクが沢山いたのならいつものようにTwitterの鍵垢で「何あれ〜!?マジでねぇわ……」と言いながら変わらず応援していたのだろうと思います。

しかし現実は違いました。「すっごくよかったよね〜!」「かっこよかった〜!!」「マジで泣いた…」と映画を称賛する声の中、私だけがただ1人例えようのない虚しさを抱えて映画館の座席に座っていました。
しかもトドメを刺すかのように、私が何よりも憎んでいるグループ、突然現れて私の大好きな推しのイメージカラーを奪ったアイドル達を称賛する声が次々に聞こえて来るのです。

この人たちはおかしい、早くこの場から逃げないと、早く、早く、そんな気持ちで必死に足を動かし、映画の感想が聞こえなくなったところでふと気付いたのです。

おかしいのは、私なのではないかと。

だって歌が大好きな推しはあのスクリーンの中で私の嫌いな人たちと同じステージで歌っている。
それでも笑っている。輝いている。
それを笑顔で応援できない私は必要ないのではないか、と。

そこから今後の自分の在り方について悩みました。降りるか降りないか、でもまだベストアルバムが控えているし…シクパは楽しかったし…そうしてグルグルと考え続けて数日経ち、ある情報が解禁されました。

『Welcome to UTA☆PRI World!!』をQUARTET NIGHTHE★VENSが歌うというものでした。

確かにこの曲はST☆RISH名義ではありません。それに元々は6人歌唱の曲です。
それでもファンミーティングの名前になった曲で、ワンフレーズが彼らの名を冠した曲にも使われていて、私たちとアイドルを繋ぐ大事な曲だったのです。

これを知ったのが第一志望の会社の面接前で手の震えが止まらなくなったのを覚えています。
そのあとフォロワーの1人と会い、カラオケに入り2人ともボロボロ泣き、推しの曲を歌い、またボロボロ泣き、ボロボロの状態で解散しました。

正真正銘トドメを刺されたという気持ちでした。
いろんなことに耐えてきました。何を奪われても他のオタクと空元気で笑い話に変えながら乗り越えてきました。でも一番の支えにしていた音楽を奪われたらもう無理だ、もうダメだ、もうここにはいられない。

そうして私はうたプリの、ST☆RISHの、一アイドルのオタクを辞めました。

厳密にはここでスパッと辞められず8月にあったシャニライのイベントも2桁台には乗らないもののURを完凸し、3桁台の順位をキープしました。
推しのベストアルバムも当初の予定よりグッと枚数は減らしたものの20枚購入しました。(本当は推しの誕生日に準えた枚数分購入するつもりでした。)
でも徐々に情報を入れないようにし、グッズを買わないようになり、課金もしなくなりました。

公式の一挙一動に心を痛めて日々を過ごすのがいかに不健康だったのか思い知りました。

今はうたプリよりも前に出会っていて同じくらいの熱量を抱いていた作品を軸に流行り物にちょこちょこ触れて楽しんでいる私ですが、今だに彼の曲、ST☆RISHの曲を聴くと涙が止まらなくなる時があります。

何よりも望んでいたST☆RISHの単独ライブを終ぞ見られないままだったこと、
消えない流れ星のように輝く彼のアイドルとしてのこれからを見守れないこと、
度も「ついてきてくれますか?」「まだまだいけますよね?」「またここで会いましょう」「そばで見守っていてください」と呼びかけてくれた彼の声に自分は応えられなかったこと、そのどれもが悔しくて申し訳なくて仕方なくなります。

それでも私は降りて良かったと思います。
あのままあそこにいても、私の中の好きの気持ちをどんどん曇らせていっていただろうと思うからです。

降りて1年以上経った今だから、
歌が大好きで努力家な彼を、ファンの笑顔をいつでも願ってくれた彼らを大好きでいたこと、青春をかけたことに悔いはひとつもないと胸を張って言えます。

あなたの、あなたたちのファンとして過ごした時は確かに私の全てで、水晶のように輝いていました。と

これが、私がキスよりすごい音楽を涙して愛した歴史の答えです。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。